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【会社設立】資本金とは
2017年3月29日こんにちは。司法書士・行政書士の室谷です。
当事務所は相続だけでなく、街の法律家として様々な仕事を請け負っています。頂く質問も様々です。
今回は会社設立に当たり、資本金をどのように考えたらいいのかという質問をいただきましたので、この機会に皆様にも説明したいと思います。
小泉政権の規制緩和路線以降、具体的には平成17年の会社法改正以降、資本金について株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上必要であるという制限がなくなりました。つまり現在は1円でも設立が可能となりました。
余談ですが、上記の法改正以降有限会社は新規設立ができなくなりましたが、代わりに合同会社が設立できるようになりました。有限会社と合同会社の違いの説明は別の機会にさせていただきますが、合同会社は、有限会社とざっくり同じです。
なお、資本金は、株式会社、有限会社、合資会社、合同会社の必須事項です。
話をもとに戻します。会社は資本金が1円でも設立できるので、資本金はいくらに設定するべきかと聞かれると、「いくらでも大丈夫ですよ。」と答えてしまいがちです。しかし、それだけの説明ではご依頼者様は困ります。「いくらでもいいといわれても。。」となってしまうのです。
さらに、「仮に資本金を多めに設定したとしても、会社のために使ってしまって大丈夫です。安心してください。」と付け加えてみます。ご依頼者様は「え?どういう意味?」となってしまいます。
そこでわかりにくい資本金を簡単に説明したいと思います。
①「資本金は債権者(銀行等)から見れば法人からの回収可能域の目安。」です。
②「資本金は資本家(株主等)から見れば利益配当可能域の目安。」です
この二つの視点が大切です。
掘り下げてみましょう。
資本金は会社の運営上必要なお金なので使ってしまってもいいものです。その為その額をプールする必要はありません。資本金が1億円であっても、実際の資産はマイナスということもあり得ます。実際、銀行等の金融機関が融資する場合、貸借対照表、損益計算書等の計算書類も最低限確認するので資本金だけで融資の判断をすることはあり得ません。
設立する側からいうと、資本金はプールしておく必要もないし、使ってしまってもいいし、融資受けるにも資本金だけでは判断してくれないなら、じゃあ一体、資本金て何なの?
例えを交えてざっくり説明します。債権者と資本家(株主等)の視点で考えてください。
資本金1億円の会社があるとします。
昨期は9000万円の赤字で資産が1000万まで減っていたとします。
この段階では、株主(社員)に利益配当ができないのは言うまでもありません。利益が無いので。
今期は黒字で9000万円の利益が出たとします。この時点で資産の合計は資本金と同じ1億円に戻ったとします。しかし利益は出したものの利益配当はできません。
この例では今期9000万円以上の利益が出てないと配当が出せないのです。
つまり、「資本金を下回るような利益配当はできませんよ」ということです。
その意味で、「債権者からは資本金を超えて資本家に会社のお金が出ていかない。という目安」になり、「資本家からすると資産が資本金を上回らないと、配当にあずかれないという目安」になります。
お判りでしょうか。つまり、「資本金という一線の裏側で債権者と資本家(株主等)とが対立関係になっている」ということなのです。
このことから、銀行機関等から借り入れることを予定しているのであれば、ある程度ある方が望ましいでしょう。設立後の増資は、税金や手続き費用がかかります。
また、設立後数年たち経営も安定して信用がついて来れば代表者の連帯保証を取られずに融資をうけることができるようになります。その際、資本金が低く設定してあると増資してくれといわれます。
ちなみに、利益配当はできなくとも資本金を下回る給与又は役員報酬の支払いは可能です。
資本金は会社の内部関係を制限するものではないからです。
会社は必要経費(給与、役員報酬含め)やらで当然出ていくお金があります。資本金はそこまで保証する概念ではありません。その為、銀行等の債権者は年間の給与及び役員報酬等についても把握したうえで貸し出すという寸法にはなります。
改めて、資本金をあえて定義つけると、「債権者と資本家との対立関係上一線を引くもの」です。内部について干渉するものではありません。
債権者と資本家が対立していないような、比較的規模の小さい会社であればそこまで重要な意味は持たないといっても過言ではないでしょう。
相続に限らず、会社、法人の設立手続きも。はたまた、その他のことも。
はづき司法書士・行政書士事務所に是非お任せください。
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